1章 身につけること、覚えておくこと

保護者の方へ

インターネットはたいへん便利なコミュニケーションツールですが、掲示板上で他人の悪口を書く、ケンカする、知らない人に連絡先を教える、悪徳商法やアダルトページなどにアクセスする、無料だからといって安易にソフトウェアをダウンロードするなどの行為によって、トラブルに巻き込まれることがあります。インターネットを利用して情報を受信したり発信したりするときには、その結果生じるリスクや社会的、法的責任を、自分自身が負わなければいけなくなるのです。

どんなことをすると何が起こるのかを子どもに理解させ、そうした事態を引き起こさないよう、そして、周囲の人に迷惑をかけないようにしなければならないこと、そのためには、インターネットを使うためのルールやマナーを身につける必要があることを、子どもに教えてください。

保護者の方へ

子どもが何らかの問題に直面した、トラブルに遭った、と相談してきたら、何が起こったのかを確認し、どのように対応すればよいかを一緒に考えてあげてください。
また、子どもが教師や親などの保護者に相談できる環境づくりを、つねに心がけておくことも大切でしょう。

保護者の方へ

インターネットは、声や表情が伝わらない、顔が見えないコミュニケーションです。相手のことを思いやることが大切だということを認識しなければ、感情のおもむくままに人の悪口を書いたり、ゲーム感覚でいい加減な書込みをしたり、嫌がらせをしたりする可能性があります。会って話せばかんたんにわかることでも、文字だけでは十分に伝わらずに、トラブルが起きることもあります。ネットの向こう側にも自分と同じ生身の人間がいることを十分に理解させ、「自分がしてもらってうれしいことをする」、「自分がされてイヤなことはしない」ことを心がける必要があることを、子どもに教えてください。

保護者の方へ

インターネット上で人と交流をするときは、文字によるやり取りがほとんどです。声や顔の表情が伝わらないため、相手に真意が伝わりにくく、よく誤解が生じます。それが原因となるトラブルは、あちらこちらで毎日のように起こっています。ですから、子どもが相手に対して失礼な文章を流していないか、誰かとメールやけいじ板などでケンカしていないかなど、つねに気を配ってください。子どもがメールを送るときには、文章の見直しを十分に行ったかを確認させることも必要です。

保護者の方へ

学校や家庭でインターネットを使うときは、基本的に、大人がパスワードを管理するようにしてください。そして、パスワードは、銀行のキャッシュカードでの暗証番号に相当するものであり、パスワードを他人に知られると悪用される可能性が高いこと、したがって、自分で注意深く管理しなければならないことを、子どもに十分わからせ、その上で子どもにパスワードを与えるようにしてください。

パスワードを設定するときは、名前や誕生日、電話番号といった類推しやすいものや、「1234」などの非常にかんたんなもの、「happy」といった意味のある単語を使ったものなどは使わないようにしましょう。悪い人はこういったパスワードを破るための辞書を使うので、意味のある単語だと、パスワードを破られてしまう可能性が高いのです。

保護者の方へ

パスワードの盗用によりプロバイダーの不正使用や、ID/パスワードの不正使用によるオンラインショッピング詐欺など、思わぬ被害に遭うことがあります。子どものユーザーIDとパスワードが他の人に知られたら、必ずパスワードを変更し、新しいパスワードを子どもに与えてください。

なお、友だちのパスワードを盗んで使用したり、悪気がなくても友だちのユーザーIDを使ったりするような子どもがいた場合には、それがいけないことであることをきちんとわからせるようにしてください。

保護者の方へ

子どもが、「友だちのパスワードを見てしまった」などと相談しにきたら、そのことを友だちに伝え、パスワードを変更したほうがよいと話すよう、アドバイスしてください。そして、以下の点に注意するよう、子どもにも再確認するようにしましょう。

・ユーザーIDとパスワードは、友だちに教えたり、ノートに書いて見せたり、メールで教えたりしないこと。
・ユーザーIDとパスワードをメモに書いて、コンピュータにはったり、他人から見えるところに置いたりしないこと。
・パスワードを入力しているときは、周りにいる人に見られないように注意すること。

保護者の方へ

子どもには、インターネットを通じて、個人情報を勝手に教えないよう、徹底して指導してください。

自分や家族の住所、氏名、電話番号はもちろん、家族の写真などの個人情報を、掲示板やチャット、メーリングリストで安易に公開するのは危険です。メールで相手に送信したり、ウェブページを通じて送信したりするのも危険です。

いったんインターネットに流れた情報は、かんたんにコピーできるので、たとえばあるけいじ板に書き込まれた個人情報が、知らないうちに他のけいじ板などに掲載されてしまうこともありますし、ウェブページで集められた個人情報が、悪質な名簿業者に転売されることもあります。いったんインターネット上に流れた個人情報は、だれに見られるかわかりません。その結果、赤の他人から自宅に電話がかかってくる、公開された家族の写真によって子どもが誘拐されるなど、トラブルに巻き込まれることもあります。犯罪から身を守るために、個人情報の開示に対しては十分な注意が必要です。

また、他人の個人情報は安易に他の人に転送したり、電子けいじ板などの公の場で公開したりしないようにするべきです。自分の個人情報の取扱いだけでなく、他人の個人情報の取扱いにも十分に注意しましょう。

保護者の方へ

子どもにインターネットを使わせるにあたり、インターネットを楽しく安心して使うためのルールとマナーについて、この「ルールとマナー集」を参考に、前もって十分に説明してください。そして、授業や家庭でインターネットを使う際の約束を子どもとの間で決め、それにしたがって、使わせるようにしてください。