観光、ドライブ、パワースポット巡りなど旅の目的は様々ですが、たまには本を片手になにも考えずにぼんやり過ごす旅に憧れます。ふと降り立った場所で見た夕焼け、地元の人たちと交わした何気ない会話、旅先でしか行けない非日常の空間。時間に縛られずにのんびりと過ごすのにぴったりな鹿児島のカフェ、見つけました。

※記事は2020年4月10日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。

  • 鹿児島に着いたら、まず出かけたい!「白熊菓琲(しろくまカフェ)」

    • 「白熊菓琲(しろくまカフェ)」

      ビッグサイズのため1〜2名で食べたい「レギュラーサイズ」(写真上)は740円、「ベビーサイズ」は520円

    文する度にその大きさに圧倒される「むじゃき」の白熊(むじゃきという名は実は社名で、カフェの名前は白熊菓琲)。発売当初からこのサイズだったそうで(!)、一人で食べきれない人が増えてきたためベビーサイズが登場。でも、昔から鹿児島に住んでいる年輩の方はレギュラーサイズを一人でペロッと平らげる人が多いらしく「若い人の方が最後までレギュラーサイズを食べきれない人が多いんですよ(笑)」とスタッフさん。

    • 「白熊菓琲(しろくまカフェ)」

      練乳(自家製ミルク)のレシピは代々家系の長男のみが受け継ぎ、家族やスタッフには一切公開されていない

    シュワ〜と溶ける口どけ、練乳の甘すぎずスッキリとした味わい。シャリッ、シャリッと氷をすくい上げるスプーンがどんどん口に入っていく。名前の由来は、かき氷の色が白熊の体毛の色に似ていたからだそうで卵が入っているからほんのちょっぴり黄身がかっている。和食の調理人だった創業者が試行錯誤したオリジナルの練乳だ。昭和24年にたった1軒の店でスタートした白熊が今や鹿児島の食文化として定着しているからすごい!

    • 「白熊菓琲(しろくまカフェ)」

      店内では白熊以外に食事メニューもある。インスタ映えする「しろくまアートカプチーノ」は510円

    発売当初は、熊本の八代まで氷を買い付けに行き、初代自ら店まで運んでいたという。戦後で食べ物がない時代、見た目も味も贅沢な白熊の存在は鹿児島の人たちをどんなに勇気づけただろう…と思うと胸が熱くなる。大切な氷は、削る音を聞いて氷の厚さを調整する“摺(す)り手”と呼ばれる人しか扱えない技術で、つくる工程は摺り手班、蜜かけ班、盛り付け班と分かれている。ただのかき氷ではなく“調理”な点にも着目したい。

「白熊菓琲」

訪れたのは「白熊菓琲」

099-222-6904
鹿児島市千日町5-8 天文館むじゃき1F
11:00〜O.S.21:30
不定休
https://mujyaki.co.jp
アクセス_鹿児島市電「天文館通」から徒歩約2分

  • 非日常を楽しみたいなら、鹿児島中央駅から車で15分の「ぼちぼち」へ

    • 「ぼちぼち」

      ガラスの向こうには緑地帯が広がり、春は桜、夏は緑、秋は紅葉、冬は雪が降れば銀世界が広がる

    然美しい空間が目の前に現れた時、人は一瞬戸惑ってしまう。あまりにも完成された美しさにどこから見ようか迷ってしまうからだ。開放的な空間と昭和初期を彷彿とさせるガラス窓、デザイン性の高いイス、大工の手仕事が伝わる天井や欄間、赤や紺が目を惹くギャッペ、空間のアクセントになっている照明やオブジェ。「心に残らなくていいから現実逃避できる時間を大切にしてほしくて」とサラッと話す店主の言葉が心に響いた。

    • 「ぼちぼち」

      テーブルやイス、棚はすべて大工さんの造作によるもの。新築の店だが古民家風に仕上げたとか

    カウンターの奥には、店主が旅先のギャラリーで出会ったお気に入りのコーヒーカップが並んでいる。どれも控えめだけど個性のある器たちで、眺めているだけで面白い。店内に常設しているギャラリースペースには、お茶碗や鍋、お皿などが飾られていた。鹿児島では出会えない作家の作品もあり見応え十分! なにより店主セレクトだけあって「ぼちぼち」で使用している器と調和し、空間と一体となって店の世界観をつくっている。

    • 「ぼちぼち」

      「ブレンド」はSサイズ605円、「パストラミビーフ ホットサンド」は単品495円(セット料金あり)

    鹿児島市内の「可否館」で修業をし、店を開いたのは10年ほど前のこと。オススメのブレンドは酸味が少なく、ほど良い苦みが喉を潤した。はぁ〜、コーヒーのアロマに癒される。そんなことを思いながら「パストラミビーフ ホットサンド」を頬張ると、配分の対比が絶妙なチーズとトマト、バジルが主役の肉を上手く盛り立てていて、肉々しく品の良い味わいに心が躍る。次に出かけた時は珈琲のあんみつを食べよう。密かに誓った。

「ぼちぼち」

訪れたのは「自家焙煎珈琲 ぼちぼち」

099-802-2229
鹿児島市西別府町2794-80
11:00〜O.S.17:00(土曜〜O.S.18:00)
不定休(インスタで告知)
https://www.instagram.com/bochi_bochi_kagoshima/
アクセス_南国交通バス「大峯団地住宅前」バス停から徒歩約2分

  • 島津家ゆかりの地で桜島を眺めながらティータイムを「仙巌園茶寮」

    • 「仙巌園茶寮」

      約1万5000坪ある仙巌園。名前は中国江西省の景勝地「竜虎山仙巌」に由来するという

    津家19代光久が別邸として造営した「仙巌園」。桜島を築山に、錦江湾を池に見立てるスケールの大きさに、豪快でおおらかな人だったのかなと想像を掻き立てる。しかもこの庭園の運営者は、島津家33代と聞いて驚いた! 28代斉彬と5つしか代が離れていない…! この意外な事実に目を丸くする。江戸時代って遠い昔のようで案外近い時代かもしれない。この仙巌園にはあの篤姫も訪れたことがあるそうだ。

    • 「仙巌園茶寮」

      薩摩では当時、奄美大島産の砂糖をお菓子に使用。斉彬が江戸からお菓子職人を連れてきたことで薩摩の菓子文化が一層華やいだ

    入口から5分ほどの距離にある「仙巌園茶寮」。店内でいただける煎茶は、知覧茶、大根占(おおねじめ)茶、奥霧島茶の3種類。ガラス窓の向こうには、桜島が一枚絵のように見える。「あっ、今噴火しました」と店員さんに声をかけられて振り向くと、モコッと煙が上がっていた。一人でのんびり過ごす女性客が多いそうだが、納得!「濃茶アフォガード」や「茶寮パフェ」など心惹かれるメニューが多い中、今回選んだのは…。

    • 「仙巌園茶寮」

      「3種のお菓子と抹茶セット」は1600円。敷地内には片道30分ぐらいのトレッキングコースもあるので高台から桜島を眺めてみよう!

    「3種のお菓子と抹茶セット」。中央にあるのは、江戸時代、完成した茶室を披露した時にお茶菓子として出したひりゅうず(がんもどき)をもとに白餡や柚子、銀杏、椎茸を入れて焼き上げた仙巌園限定のお菓子「飛龍頭」。柚子がうっすら香る品の良い甘さで、椎茸が入っているとは思えない味わい。つくる店によってこんなに食感や舌触りが違うのかと感じた軽羹はふわふわしていて、昼下がりのティータイムを極上の時間にしてくれる。

「仙巌園茶寮」

訪れたのは「仙巌園茶寮」

099-247-1511
鹿児島市吉野町9700-1
9:00〜O.S.16:30
無休(3月第1日曜日は鹿児島マラソンのため休園)
https://www.senganen.jp
アクセス_鹿児島シティビュー(バス)または
まち巡りバス「仙巌園(磯庭園)前」下車、目の前