Vol.21 日田の焼きそば

皿うどんはやっぱり地元で食べるのが一番だなあとしみじみと感じた今回のグルメ取材。それほど、お店によって味の違いがしっかりと分かれるんです! 全国展開しているチェーン店の存在もあってわたしたちに身近な皿うどんですが、長崎で食べるからこそわかる長年愛されている土地の味を、旅と共に楽しんでくださいね!

※記事は2022年5月13日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。
表記の金額はすべて税込価格となります。

グルメin 長崎 皿うどん「思案橋ラーメン」

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グルメin 長崎 皿うどん「思案橋ラーメン」


県外でも有名な長崎の「思案橋ラーメン」。屋号は“ラーメン”を掲げているが、『皿うどん(850円)』や『ちゃんぽん(850円)』も人気!

長崎で皿うどんの食べ歩きをしていると、店ごとに味の違いがストレートに出ていて面白いな〜と思う。「思案橋ラーメン」の『皿うどん』もまさにそう! 江戸時代から砂糖が手に入りやすかった長崎では、料理に砂糖を使う量が他県よりも多い。だから甘口の料理が多く、皿うどんの餡も甘くてやさしい味わいなのが特徴だ。しかし「思案橋ラーメン」の『皿うどん』は、コクもしっかりある。この比率がほんの少し崩れるだけで味のバランスが大きく変わってしまうのが、


法事や祝い事など親戚が集まる時にお寿司の出前を注文するのと同じ感覚で、長崎では大皿に盛った数人前の皿うどんを出前する風習があるのだとか!

食べ歩きをして感じたこの店がすごいと思うゆえんだ。そして、このコクが“ああ、食べてる〜”という満足感をさらに満たしてくれる。ところで「思案橋ラーメン」の『皿うどん』には、四季を感じられる工夫が取り入れられている。それは、盛り付けの頂上部分に牡蠣が載っていれば秋冬、アサリだったら春夏がやってきたことを示す、店主のちょっとした遊び心。5月の中旬頃は、日によって牡蠣だったりアサリだったりするそうなので、注目してみると面白いかも!


壁のメニュー表や赤のカウンターが郷愁を誘う店内。中華鍋の中で油が弾ける音やお玉じゃくしが奏でる音はBGMとなって食事の時間を明るく彩る

半分ほど食べ終わったら、テーブルの脇にある金蝶ソースを少しだけ投入。ソースをかけると、餡の輪郭がよりはっきりと帯びてくる。ちなみに長崎の皿うどんの麺は、硬さや細さの違いがお店によって結構明確に分かれ、ラーメンの麺と比べても違いがわかりやすい。「思案橋ラーメン」の麺は、蒸し麺を毎日厨房で揚げていて、そのこだわりもおいしさの1つ。深夜2時まで開いているので、お腹がすいたら夜中でもフラッと食べに行くことができるありがたい存在だ。

「思案橋ラーメン」

095-823-1344

長崎市浜町6-17
11:30〜翌2:00
木曜休
https://tabelog.com/nagasaki/A4201/A420101/42000481/
アクセス_路面電車「思案橋駅」の目の前

グルメin 長崎 皿うどん「天天有」

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グルメin 長崎 皿うどん「天天有」


とろみが強い『皿うどん(850円)』。お店は「浜町アーケード」から徒歩3分ほどの距離にある「思案橋横丁」の一角にある

席に着いてメニュー表を見た時、『皿うどん』と『特製皿うどん』の2種類があったら、その違いはなんだと考えるだろうか。おそらく多くの人は“特製皿うどんは、皿うどんに比べて具材がゴージャスなんだろうな”と思うに違いない。しかし、「天天有」はそれだけではない。この2種類はまったく別物の料理なのだ。――昭和初期、福建省からやって来た官さんがちゃんぽんや皿うどんを考案した「四海樓」で修業し、後に独立して開いたお店が「天天有」だ。


海鮮がたっぷり入った『特製皿うどん(1200円)』。昔から変わらない味として地元の人たちに親しまれている

現在、お店は孫の官兄弟に受け継がれており、『皿うどん』と『特製皿うどん』の違いについて質問をすると「皿うどんを食べる前に、まずは餡のモトとなる『ちゃんぽん』と『特製ちゃんぽん』のスープをそれぞれ飲んでみて」とテーブルの上に2つのお椀を並べてくれた。飲み比べして驚いたのだが、この2つは味がまったく違う…! 『ちゃんぽん』は多くの店舗と同様、薄口醤油味なのに対し、『特製ちゃんぽん』のスープは塩味がベースでほんの少し醤油の風味がする。


左が『特製皿うどん』、右が『皿うどん』。こうやって並べてみると、具や餡の色味の違いがはっきりとわかる!

さて、お待ちかねの『皿うどん』と『特製皿うどん』の登場だ! 2種類とも長崎らしく餡に砂糖が入っているが、『皿うどん』はより甘みが強い。醤油ベースと塩ベースの皿うどん、好みは分かれるが、一人で入るなら他店では珍しい『特製皿うどん』をオススメしたい(家族でシェアするなら2種類の違いを楽しもう!)。そして肝心の麺はというと、揚げる前に湯煎して乾かすというひと手間を毎日惜しまない。1つひとつの丁寧な工程が「天天有」の味をつくっている。

「天天有」

095-821-1911

長崎市本石灰町2-14
11:00〜15:00、17:00〜22:30
(14:30までにお客さまが入っていない場合は15:00を待たずに閉める可能性もあり)
水曜休
https://tabelog.com/nagasaki/A4201/A420101/42000233/
アクセス_路面電車「思案橋駅」から徒歩約1分

グルメin 長崎 皿うどん「中華 満福」

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グルメin 長崎 皿うどん「中華 満福」


お店に行って食べて感じてほしい、麺の極細さ!麺そのもののおいしさや風味、麺が餡でしなっとなる前後の変化の違いなど『皿うどん』の世界を楽しもう

長崎で皿うどんを食べるなら、この店も押さえておきたい。「満福」の『カレー皿うどん』だ。ベーシックな味とは一線を画す新しい出合いに、取材の日を心待ちにしていた。最初に目を惹いたのが、麺の細さ! 皿うどんでは初めて見る極細麺だ。箸で持った感覚も食感も硬い。なのに、軽く咀嚼しただけでパリパリと崩れていく。今までに経験がない、軽やかさ! この歯応えをどう表現したら伝わるだろう。“芯が通った華奢な麺”という言葉が、しっくりくる気がする。


子どもにもダントツで人気の『カレー皿うどん(900円)』。『カレーちゃんぽん(900円)』もあり、どっちの料理を選ぼうか迷ってしまう!

楽しみにしていた餡は、お母さんのカレーのような昔ながらのホッとする味で、サラッとしたとろみをしている。3分の1ほど食べると、身体の奥底からエネルギーがフツフツと沸き上がってくるのを感じた。たっぷり入ったスパイスが心を押し上げ、身体中にパワーがみなぎっていくようだ。先日、久しぶりに東京から来店した常連さんは、自粛していたこの2年間、「満福」の『カレー皿うどん』が恋しかったそうで、自宅で味を再現しようと何度か挑戦したらしいが、


カウンター席に座れば、調理工程の様子を見ることができる。今回ご紹介した東京の常連さんもカウンター席に座って見て学んで帰って行ったのだとか

当然ながら「満福」の味には程遠く、店主との再会を喜び、うれしそうに食べて帰ったとか。真似したくなるということは、それだけ魅力があるってこと! ただし、ベースとなる“皿うどんの餡”がおいしいからこそ、カレー風味もおいしくなるわけで、この人気の味を引き出せるのはやっぱり「満福」しかいない。ちなみに1日2〜3食限定の『カレーカツ丼』もあり、この丼にハマる常連さんが増えているそうだ。来店時にあればラッキーなので、その時は注文をお忘れなく。

「中華 満福」

095-823-1029

長崎市本石灰町5-1
18:00〜24:00
日曜休
https://manpukuchan.com
アクセス_路面電車「思案橋駅」から徒歩約1分