Vol.20 鹿児島のおでんでしっぽりと

時にはプロが淹れたコーヒーとともに、いつもとは違う時間を楽しみませんか? その場所でしか味わえないコーヒーや開放的な空間、店員さんとの何気ない会話は、気持ちをリフレッシュさせ、いつもの日々を明るく照らしてくれます。お店に行かないと手に入らない、ドリンクやフードメニューにも注目ですよ!

※記事は2022年3月11日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。
表記の金額はすべて税込価格となります。

大牟田のランドマーク的存在「ROOTH2-3-3」


もとは築約70年になる米蔵。当時、戦後で資材が乏しい時期だったこともあり、炭鉱の煙突で使われていた煉瓦を譲り受けて建てたのだとか

は昭和、華やかなりし頃。炭鉱で栄えていた大牟田は、隣の荒尾とともに賑やかな時代を迎えていた。今は「ROOTH2-3-3」と名称が変わったこの赤レンガの建物も、当時の面影を残す貴重な建物だ。重厚感ある外観がひと際目を惹くが、躯体を活かした開放感ある店内の雰囲気もカッコイイ。「大牟田の歴史的な良さや雰囲気を残しつつ、誰もが気軽に集えるコミュニケーションの場を提供することをコンセプトにつくりました」とスタッフ。この店の出現により、大牟田に新たな「場」が生まれた。


車いすやベビーカーもスムーズに入店できる広さを設けており、店内も動きやすい広さを確保。赤ちゃん連れのパパとママも安心のベビーベッドもある

以前、この店に入った時の印象を強く覚えている。平日の夕方だったが、学校帰りの高校生や働き盛りの大人たち、ご年配の方たちなど、それこそ幅広い年代の層の人たちがそれぞれのパーソナルな空間と時間をのんびり過ごしているように見えたからだ。店内の一角には業界紙や地方紙など60紙がディスプレイされた新聞ライブラリーがあり、BGMにはアナログレコードが流れている。そしてコーヒーの傍らにあるのは、ミニサイズのかわいいドーナツだ。


ドーナツは1つから購入ができるが、“このかわいさを持って帰りたい!”という人は、9個入りまたは16個入りのお持ち帰り用ボックスもある

毎朝、店の中央にあるキッチンでつくっているドーナツは、ヨーグルトを使用した甘さ控えめな生地で、彩り鮮やかなアレンジドーナツが特に人気。暖かくなるこれからの季節は、ハンドドリップで淹れたコーヒーと、生クリームを入れたミルクを合わせて、冷やした牛乳瓶で提供するコーヒー牛乳『BLACK&WHITE』と一緒にいただいたら最高だ。いちごミルクを独自の解釈で表現した『RED&WHITE』や、抹茶ラテの『GREEN&WHITE』もある。

「ROOTH2-3-3」

092-984-1131

大牟田市不知火町2-3-3
10:00〜18:00
水曜休
https://rooth1228.com
アクセス_JR&西鉄電車「大牟田駅」から徒歩約3分

海を見ながらのんびりと「CAFE&PIZZA 絶景カフェ」


看板にアイスキャンデーの文字があるが、1本1本手づくりしているアイスキャンデーは夏限定の商品なので初夏になるまでのお楽しみ!

を眺めながらゆっくり過ごしたい。そんな時“窓やテラスからどの程度海が見えるか”がポイントになるが、確実に、そして満足できるオーシャンビューを叶えてくれる店が、昨年糸島の二見ヶ浦にオープンした。その名も「絶景カフェ」! 道路沿いからは真っ白な壁しか見えず「絶景はどこ?」と一瞬戸惑うが、数段登った先にある“頂上”から地下へと続く階段の先にエントランスがあり、今から秘密基地に向かうようなちょっとしたワクワク感を掻き立ててくれる。


窓から海の写真を撮るなら今の季節は14時〜16時頃がオススメ。お隣は、テイクアウトのおやつを買うことができる「二見ヶ浦商店」

地下にこんな絶景が待っているなんて、誰が想像するだろう…! 窓からは二見ヶ浦の象徴である夫婦岩が見え、青いグラデーションがどこまでも続く景色も、オレンジ色の光を帯びた夕焼けも心が洗われるよう。少し先の話になるが、大注連縄(おおしめなわ)で繋がれた2つの岩(夫婦岩)の間に夕陽が沈んでいく夏至の日に見ることができる神秘的な光景もまた格別だ。二見ヶ浦は夕焼けがキレイな名所とも知られていて、この店で過ごす夕方の時間も贅沢に違いない。


『糸島若鶏と塩麹レモンのメキシカンチリ』はハーフ1100円、レギュラー2000円。ピザの上に盛られたたっぷり野菜は華やかで、写真にも映える!

海の景色が主役のカフェだけあって、すべてのメニューを砂浜や外のウッドデッキに持って行くことができるのも魅力。糸島の自然を表現した常時約6種類のピザもあり、これからの季節に選びたいのは、たっぷりのチーズにさっぱりとしたレモンの酸味とピリッとした旨みのメキシカンソースが融合した『糸島若鶏と塩麹レモンのメキシカンチリ』だ。香り高いハーブと食べ応えあるモモ肉の満足度が高く、生地は耳までおいしい。スイーツのピザもあり、甘いものが大好きな人は『ショコラ・ド・マシュマロ』にも注目!

「CAFE&PIZZA 絶景カフェ」

092-809-1155

福岡市西区大字小田2195-3
11:00〜サンセット
不定休
https://futamigaura.com/zekkei-cafe
アクセス_昭和バス「月と太陽 糸島茶房」下車、目の前

ネルドリップを楽しめる店「珈琲美美」


店を代表するブレンドコーヒーの『中味(550円)』

「美美」のファンと公言する人は多い。以前、取材した鹿児島のカフェの店主も「福岡に行く時は美美さんに寄るんですよ」と話していて、県を越えて愛される店なのだと思ったことを覚えている。これは自論なのだが、美美のファンの人たちは、どことなく共通した雰囲気を持っている。「好きな喫茶店やカフェは?」と聞いて「美美です」と答える人を見ていると「なんとなくわかる」と思うから不思議だ。そして、すべては店がつくり出す世界観に通じている気がする。


滴一滴とお湯を落とすように、ネルドリップの中心から広がっていくようにコーヒーの液が抽出されていく

「美美」は、ネルドリップと自家焙煎の店だ。1階では豆を販売、2階は喫茶スペースで、窓から見える豊かな緑の借景が空間を彩っている。「滴一滴。頭の中で呟きながらいつもコーヒーを淹れているんですよ」と話す店主の森光さん。この日いただいたのは、ハラール・モカベースの『中味』。カップを近づけるとふくよかな香りがし、やわらかな苦みとコクが喉の奥へスーッと抜けていった。おいしいコーヒーは、どんな時でも心をまろやかにする力がある。


木のぬくもりを感じるテーブルや開放感ある大きな窓、そこから見える景色はいつ訪れても心地よい空間。静かで贅沢な大人の時間を過ごすことができる

コーヒーに欠かせないものの1つに焙煎がある。「美美」は全国でも珍しい豆の50℃洗いをしていて、お湯で洗うことで旨みを引き出しているそうだ。洗った豆を火にかけ、パチパチッと弾ける音を聞き分け、中深煎りに仕上げていく。
話に聞き入っているうちに開店時間になり、お客さまが入ってきた。一人はご年配の女性、一人は学生らしき若い男性だ。流行に左右されず、やすらげるコーヒーと寛ぎの空間を求めて人々は訪れる。それが「美美」だ。

「珈琲美美(びみ)」

092-713-6024

福岡市中央区赤坂2-6-27
12:00〜18:00(豆の販売は11:00〜18:30)
月曜、第1火曜休&喫茶は火曜すべて休み(祝日も含む)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400105/40000004/
アクセス_西鉄バス「赤坂三丁目」から徒歩約1分