「女の子にとっていちばん大切な才能は、どんな嫌なことがあっても、ひと晩寝たら立ち直ることが出来ること」
私の、オマジナイ。
長いあいだ、何度も何度も繰り返し繰り返し自分自身に言い訊かせてきた。「ひと晩寝たら」がすべての基本である。本来は眠いのにアルコールのせいでワケワカンナイ世界に迷い込み高揚して喋り過ぎて失敗したことが幾度もあるのは、この「基本」を守らなかったときなのだ。イヤなときは寝る。最優先は寝る。
この名言は、女の気持ちを書かせたら天下一品の田辺聖子先生から教えていただいた。
同性の悩める方々から相談を受けた折に、私は必ず伝授して差し上げる。
「それイイネ」とすぐに行動に移す、「そういえば寝ないで考えてばかりいたわ、私」と気付いて素直に眠る人はたいがいの嫌なことはふっ飛んでしまう。「いいアドバイス有り難う」と私は何回も感謝の言葉を頂戴している。
世に出回っているビジネス本のほとんどが、前向きに、楽天的に、笑顔が大切などと指南しているがその前に「ひと晩寝たら」が効く。
確かに、あれほどクヨクヨ思い悩んでいたことが「まっナントカなるかも」と変わってくるから不思議。
♪夜明けの来ない夜はないわ〜♪なのだ。
田辺先生は作品の中で主人公にポツリとつぶやかせる台詞に絶妙な味があり、たとえば、「女がほろっとなるのは、男の見てくれや金ばかりでもなく、口マメとやさしさだ」
「女は自慢しているところでも、していないところでもよい、必ず一ヵ所を捉えてほめる、にかぎる」
「オトナの女とは、男に期待しなくなった女のこと」
これらの金言は女にとっては男には知られたくない弱点ともいえるが、私は男友達にこれらの金言を惜し気もなく伝えてあげてきた。オトシタイ女が居たら「とにかくホメろ」を迷わず実践して本望を遂げた男たちから、今だに御馳走して貰っている幸福な私である。合掌。