滝悦子のエッセイ「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」

大変でも苦労と思わない。

長寿番組であらためて脚光を浴びている黒柳徹子さん。
私もこの日類なき女人の言動に長い間注目しているのです。
「反省を母親の胎内に忘れてきた」
と話しているのを聞いたときは、その言語感覚に驚き、
「少しは反省もするんですよ。でもね、次の日には忘れちゃう」と。根っから明るく振るまう人だと知りました。
若い頃に知り合ったドクターが名医だったので「死ぬまで病気しないですむには、どうやったらいいんですか」と聞いたら「それは非常に珍しい質問だ。しかし、ひとつだけありますよ。好きなことだけをやって生きなさい。自分から進んでやれる仕事を選んでおやんなさい。肉体だけの疲れなら一晩眠れば治る。でも嫌だなぁと思っていると、治るものも治らない」と。
「そうは言っても、なかなかできないんだよね」と名医は言うけど黒柳さんは、自分から進んでやりたい仕事を選ぼうと考えた。どれだけ忙しくても、自分が好きでやっている分には疲れないはずだ、嫌だなと思ってやる仕事でも、自分で決めたんだと自分をだましてでもやった。大変でも苦労とは思わない。あとはちゃんと睡眠をとる。そのおかげで、まったく疲れないと。
コレ、ストレスという言葉の広まる以前の45年前の話ですが、いわゆるストレス撃退法としては最良だと思えます。
もうひとつはジャイアント馬場さんのお言いつけ。
スポーツジムにもエステにも行ったことないけど、これだけ守っていると。
「百歳まで舞台に立ちたいなら、ヒンズースクワット(膝の屈伸運動)を30回から50回、そして自宅の2階に上がるのを2回、それだけでいいからやってください、ただし毎日。一日でも忘れたらダメです」と。
馬場さんはその1か月後にお亡くなりになったので遺言のように守って毎日やっている由。
ちなみにヒンズースクワットとは、掌を頭の後ろに組み、膝を90度ほど曲げ、また伸ばす。あるいは腕を振り、完全にしゃがみ込み、また立ち上がる。黒柳さんが行っているのは後者。プロレスラーは一般的に後者のパターンを行う。
芸能界では森光子さんが前者のタイプを行って有名だった。
好きなことを見出して、毎日少しでも運動すると私は学んだのでした。