「今年こそ日記をつけたいんです。どうしたら続きますか?」
30代前半の後輩OLから真剣な声で訊かれた。
「ネットとかフェイスブックって何かムナシイって気が付いたんです。何かこう、文字を紙に書きたいなぁという気分かナァ」
「続けるってどのくらい?」
「最低一年はガンバリタイかナァ」
そこで先輩の私は、張り切って指導したわけです。
まずは、ガンバルという姿勢がいけません。
これは、苦行であってはならず、日記をつけるのがもう楽しくて嬉しくて待ちどおしくて仕方がないと自然に思える状況であらねばならぬ。
従って、ラクなのがいいんです最初は。
日記の挫折の一番は、たくさん書こうとすること。一行でいいと決めたとたん、ラクになる。
「えっ、一行でいいんですか!」と驚く人が多いけれど断固として、いいんです。
長さや量はカンケイナイ。長いのも短いのも両方正しい。
その時に、一行だからといって、手帳なりノートなりの頁にどんどん詰めて書くのは駄目。一日分一頁に一行と決める。ノートは百円でもいいから。
何月何日何曜日(できれば天候。晴れとか雨とか。)
そして次に、その日の最も心に残ったことを一行だけでいいから書き留める。それだけ。そうすると必ず起きるコトは「一行で足りない」。そのときは二行でも三行でも感じたことを加えていけばいいだけ。しかし一行でも全然平気と決めておくことが、大切だと言いたいのです。
一行しか書いていない頁がドンドン貯っていく。すると下のほうの白いところがもったいないなどと感じてきたら、しめたもの。何か落書きみたいなイラストを書いてみたり、その日行ったカフェのメニューやコンサートのチケットを貼ったりしたくなるんですよコレが。不思議と空間を残すことに抵抗がある。
お試し下さいぜひ。長年このアドバイスには感謝されてきたから大丈夫。その一行の内容は、食べたものの献立、見たテレビのタイトル、上司のネクタイの色、バス停で気になった人の似顔絵、明日着る服のネダンなど、はじめはとにかく何てバカバカしいというようなモノ、コトほど長続きします。