春先になると「近づいた新環境、学校や会社にうまく適応できるかどうか心配」という相談が舞い込んでくる。
「ニガテな上司や取引先の人がいると考えただけで緊張して身体が固まって欠勤したくなる」などと訴えられると、私は決まってこう応えてきた。
50年前に死んだ父が教えてくれたコトバ。
「ニガテを作ったらイカンよ。ニガテな人間がいたら、好きな人に置き換える。ホントは自分はこの人を好きなんだと思い込め」と。
イヤな奴がいたら想像力を駆使して、好きな役者や歌手やスポーツ選手にすり替えてみる。
コレ、効きますから。
上司が近くに来るたびに反射的に逃げたくなる経験のある人は案外多く、ニガテに感じるのは本能的なものでもある。
それを「仕事だから」と割り切ろうとしても抑え込むのは難しく、頭でいくら制御しようとしても身体が反応してしまう。この時に「まだ未熟だからダメなんだ」「もっとガンバレ。人間力をつけろ」と自分を責めて激励して苦手意識を克服しようとするのは逆効果。
さらに大きなストレスを積み重ねてしまうことになるから。
だから「気楽にやるのが一番よ。悩むのではなくて、目の前の対象物のイメージを変える。好きだと思い込むことで、無意識や本能に変化が生まれるから試してみて」と私はアドバイスし続けてきたのだった。もちろん「冗談でしょ」と笑われて本気にして貰えなかったこともあったけど。
ところがつい最近、心理学者から「それは心理学の分野では、心象風景を使って記憶の構成要素を変える方法といわれるものの一つです」と説明されて大いに喜んだ。
私は常日頃から、会議やイベントや電車の中で周りがどんな連中であろうと「今自分が一番好きな人が横にいる」と思い込むようにしている。なんとハッピーな日々であることよ。
お勧めします。