滝悦子のエッセイ「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」

ガンバリスギナイ

知り合いの歴史学者は、
「ちょっと不真面目な人は病気にならない。真面目すぎるから病気のモトをつくっている」とことあるごとに話している。
勉強が好きな学者で、明るくて良い酒を楽しく飲む人だから、私は多大な影響を受けている。
「自覚症状もないのに健診に行くなんて必要ない。医療費と薬代のムダになるだけ」
などと言われると、そ〜かもしれないなぁと妙にナットクしてしまう。
医者である友人たちに問い質してみても、答はだいたい半々で、最近は医者みずからが「がん放置療法のすすめ」とか「健康診断は体に悪い」と発言しているから推して知るべし。つまるところは自分のことは自分で決めるしかない、ということでしょう。
「ともかく真面目はアブナイ。うつ病が増えてるというけど、昔からうつ病になる人の典型的な人物像というのがあるんだよっ」
と5つばかり挙げてくれた。

  • 真面目で勤勉、仕事はそつなくこなす。人から、冷たいとか頑固とかいわれたことはない。
  • 頼まれるとイヤとはいわないので、職場では頼りにされている。親切な小父さん、あるいは頼りがいのある部長さん。
  • 他人をそらさない、温かみのある人物。
  • 何でもよくできる主婦。料理も手芸も玄人はだし。よく気のつく、そつのない母であり妻である。よく働く人でじっとしているのを見たことがない。
  • 責任感の強い人物。

えっえぇ〜〜っと私は恐くなりました。
心当たりのある人は?誰でもひとつは当たりますよ。
ま、自衛策としてはとりあえず肩の力を抜くことか。「ワタシがいないとダメ」という他人に任せきれない性質も危ないらしいから。
勿論、程度にもよるが「ガンバリスギナイ」はまた今年も続いていく人気テーマになりそうだ。