滝悦子のエッセイ「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」

人生を肯定すること

医師による「健康本」が売れている。
ベストセラーになっている 『食べない健康法(著:石原結實)』 『100歳までボケない101の方法(著:白澤卓二)』 『大往生したけりゃ医療とかかわるな(著:中村仁)』 『腸内革命(著:藤田紘一郎)』 『免疫力をアップする科学(著:藤田紘一郎)』など気持をそそるタイトルが本屋に山積みだから、ついつい手に取って読んでみた。
私なりに納得した幾つかの極意を述べてみたい。幸せに生きるには果たしてどうしたらいいのか?
だいたいどのドクターにも共通しているのは「体重を一定に保つことは大切」だと。
長寿遺伝子をはたらかせるためには、カロリーを絞りこむことが必要だから、逆にカロリーを常に取りすぎている状態、つまりメタボの人たちは長寿遺伝子のスイッチが入らないという。この定説は今までもさんざん言われてきたから特に目新しい意見ではない。
しかし、全ての本に書かれている、ということは「分っているけど止められない」人がいかにたくさん存在しているか、を実証している。
私が深く同感するのは、人としての原点、「動」「食」「心」にまつわる3つのススメだ。
まず「日常生活の中で体を動かす。激しい運動は不要」、即ち、ウォーキングのススメ。
歩数だけでなく段差が大事で、階段を上下できなくなると生活圏が急に狭くなり、将来的には介護への入り口となるから要注意である。
つぎに、「食」。「老化を促進する活性酸素を抑えて、免疫力を高めることが重要」だから、色や香りのある野菜、果物、納豆、みそ、漬物などの生きた菌を意識してしかもよく噛んで唾液を出すこと。
最後に、「心」。ものの考え方、心のあり方も大いに作用するから、人生は思いどおりにはならないものと知り、ストレスを避ける。
うつの対極は「ときめき」だから、何かにときめいている人やよく笑う人は元気だと研究結果が出ている。旅行や野球や何でもいいから「好きなこと」をして気持を切り替えられる人は強いのだ、と。
こうしてみると何も難しくはないなと思えてきて、手に取った中でも「周囲に感謝できて、まあまあいい人生だと肯定する」というフレーズがいちばん気に入りました。