滝悦子のエッセイ「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」

スポーツの妙味

春来たる。
とたんにスポーツの話題もさかんである。
俳句の季語で球春(きゅうしゅん)があるが私はこれが大層好きで、まことに良く出来ていると毎年感心してしまうのだ。
ゴルフについてプロレスラーの藤波辰爾が面白いことを言っている。
「コースデビューはまったくの偶然だったけどとにかくプロレスとはまったく勝手が違った。プロレスはいかに力を入れるかですが、ゴルフはいかに力を抜くかが肝心。僕らの筋肉はほとんどゴルフには必要ありません(笑)」
ゴルフはいかに力を抜くかが大切だ、と。
これはフツウの人が言ったのでは当たり前すぎるけど、プロレスラーが発見したところに妙味があるわけですね。
ゴルフと言えば。
スポーツアパレルの「デサント」の中西悦朗社長のコメントに、感ずるものがあった。
「昨年12月にがんで亡くなったゴルファーの杉原輝雄さんの棺に、弊社社員が来期の契約書をいれたという話が報道されました。あれは、数十年付き合った担当者が奥様の許可を得て入れたものです。実は私も、後で報告を受けて感動しました。やはり、スポーツマンシップっていいですよね」
スポーツマンシップというコトバは昔からいたるところで聞いてはいたわけですが、日頃からスポーツとは縁遠い私なのに、このエピソードには涙腺がゆるみました。
そしてもうひとつ。
「息子にどんな人になってほしいか」と母親に尋ねたアンケートで、プロゴルファーの石川遼選手が1位になったそうだ。
「目標に向かって努力する姿にわが子を重ねるのではないか」と、毎年端午の節句を前に実施している人形メーカーは分析している。
他に人気を集めたのはイチロー選手と坂本龍馬。
やはり「スポーツ」からは目が離せない。