連続テレビ小説「カーネーション」は小篠綾子さんをモデルにした物語で現在、快調な滑り出しをみせている。
三人の娘を世界的なデザイナーに育て上げたパワフルで波瀾の人生。5年前に92歳で亡くなったが、とにかく会うたびに発言が「若くなっていく」そんな感じのする元気な女性だった。
「自己流」という言葉がお好きで、
「人のやり方を真似するだけじゃアカン。みんなと同じでなくてもかまへん。自分がやりやすいようにやったらええねん。生きていくのも同じや。自分が生きやすいように生きるのがいちばんや」と。
次女のコシノジュンコさんによれば、日記にも「人はおのおの自己流がいい」という言葉を遺している、と。
人さまに迷惑をかけるのでなければ、自分がやりたいようにやる。横並びの生き方ではなく、自分なりの道を見つけていく。それが綾子さんの最も教えたかったことであり、生き方であったのだと思う。
実は私の亡父も似たようなことを言っていた。
「エッチャン、ヒトと同じことしても面白うないよ。ちぃーっと違うことばせんね。ヒトから、アンタ変わっとるネと言われるくらいが面白いとよ。ヒトと同じことしても同じ人生。違う人生にしたほうが楽しいよ」
子供の頃は理解できなかったが、気がついてみれば、たしかに他人の眼ばかりを意識しすぎる周りの人たちに比べて「自己流」に生きてはいる。
人と比べて一喜一憂はせぬように生きている。
おそらく先人二人の真に意図したことは、必要以上に浮いたことをするというのではもちろんなく、ただ無条件に周りと合わせるのを嫌った。みんなが同じなんてありえない。無理をして合わそうとする必要などありません、と伝えたかったのだと思うのである。