滝悦子のエッセイ「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」

オリジナルの生き方

「職人」というコトバの持つ響き、気配が好きだ。
職人芸、職人肌。どれも憧れの対象である。
ちなみに職人気質(かたぎ)を広辞苑で引いてみたら「職人社会に特有の気質。自分の技能に自信を持ち、頑固だが実直であるというような性質。」とある。
先日、宮大工の棟梁に会った際にもその佇まいに感銘を受けた。
学問によって頭に詰めた知識ではなく、仕事を通して得てきた力量と深い哲学を身に付けている。おそらく若い頃から丁稚奉公として働きに出て、鍛え上げてきたのだと思われる。
木には命があると言い、木造建築が千年永らえるわけを知っている。たどり着いた仕事の高みは美しく輝いていた。
苦しい仕事が、やがて人間を磨いていくことの表れだと感じるのであった。
私の家には子どもの頃、大工であった叔父が同居していたので、時折その仕事ぶりを眺めて知らず知らず影響を受けたのかもしれない。
そして突然ですが、浜崎あゆみです。
記事に目が釘付けになった。
芸能レポーターの山田美保子さんによると、新郎は元・左官である、と。念のために再度広辞苑を引くと「壁を塗る職人。壁大工」とある。TVのワイドショウでは元・配管工だと伝えてもいた。
オリコンヒットチャートであゆは聖子の記録を抜いたなどと伝え聞いてもピンと来なかったけれど、今度ばかりは喝采を贈りたい。
あゆはエライ。聖子が恋多い女だと呼称されても所詮選んだ相手は坊ちゃんタイプばかりだった。
自分自身の選択眼で男を射止める時代の到来を心から喜ぶ私。
安心感だけのあるおもしろみのない男を選ぶより、他人がなんと言おうと一本背骨の通った伴侶であれば、幸多い人生に違いないのだ。
オリジナルの生き方に乾杯。