滝悦子のエッセイ「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」

うつぶせ寝の効用について

「新年を迎えたときの、凛とした、身の引き締まるような感覚が好きだ」と語ってくれたのは、ミュージシャンで俳優の石橋凌。
昨年の大河ドラマ「龍馬伝」での敵役の長崎奉行役で見せた面構えが強烈で忘れられず、暮れにジカに対面できた際には、我が身の幸運を大いに歓んだ。
まさに正月は一年の節目「身の引き締まるような感覚」だとは、言い得て妙である。

そんな年明けに相応しいめでたい話をひとつ。
1911年山口県生まれだから今年100歳を迎える医学博士、日野原重明ドクターはバリバリの現役。
この人の面白いところは「昨晩も夜更かしをしてしまって、寝たのは朝の4時でした」とかサラリとおっしゃる。
「へぇ〜いいんですか起きるの7時でしょ」
「いいんですよ。四角四面に考えなくても。眠りよりも優先する『自分のやりたいこと』がある日は眠らなくても大丈夫。そのうち必ず自然と眠くなりますから」
良かですね〜。この自由軽快さ。
しかしながら健康長寿の秘訣は「食と睡眠」であることには間違いなく、この長寿の達人は「うつぶせ寝」を強く提唱して久しいのだ。
いわく、年齢に関わりなく実行してほしい寝方であり、仰向けに寝るよりも、うつぶせの方が数倍効率よく睡眠がとれる。
最近、睡眠中に呼吸停止を起こす人が増えているが、うつぶせに寝るとその発作が防げるし、全身がリラックスして、胃腸の働きも良くなる。腹式呼吸になって、横隔膜も運動する。認知症の予防効果もある、と。
幼児では危ないのではないかと聞いてみたが、幼児ではない大人なら大丈夫だという説なのだ。
そーいえば、犬も猫も牛も、脊椎動物はみんなうつぶせに寝るというから、人間にもその方がいいのかもしれない。
新年にあたり、これまで一度もやったことのないことにチャレンジするのも一興ではありませんか。
ちなみに日野原ドクターのお勧めの野菜はブロッコリーだそうですよ。
一番ダメなのは何事によらず「食べ過ぎ」だと。