滝悦子のエッセイ「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」

ほめパワーの威力

ホメられるのが好きだ。
ホメるのも、大好きだ。
ほめたりほめられたりすると、体内の快楽ホルモンが刺激されて、自然にキモチ良い時間が流れる。と大脳科学分野で証明されている。
ほめられて嬉しがるのは、なにも人間だけではない。
草や木もそうらしい。
もう20年も前に、サザンの桑田クンがこんな話をしていた。
部屋で観葉植物を育てているんだけど、コンサートツアーに出る時は、植物に、「行ってくるからな、元気でいろよっ」と声を掛け、留守を言いふくめて出かける。 さて帰ってきてみると、ちゃんと挨拶をした鉢はピンピンと元気なのに、声を掛けずに黙って水だけやっていた鉢は、なんと哀れにもしぼんでいた…。
陽の光の強さも温度も同じ条件の同じ部屋なのにナンデだろう。
「あーっ、植物だって生き物だ。声かけられずに淋しかったんだろうな。今度からは思いきり優しくしてやっからなー。」

よく解るハナシなんですよね私。
そういうことってアル、と素直に思う。 植物のことを調べている人によると、人間に慣れてしまった植物は、人間がいなくなると、オチこむんだそうだ。
庭木というのは鉢植えと違って、水をやらないから元気をなくすとか、枯れるとかは原則的にはありえない筈なのに、引っ越して空き家になってしまった家の庭木は枯れたり弱ったりしていることが多い、と。
そういうもんだそうです。
木だって落ち込むんだから人間はなおさらのこと。自分にとって大切なんだと感じたら、まずは声に出してホメてみるべきですね。